益田ミリの「永遠のおでかけ」を読んだ。 実父の余命宣告から、別れ、父のいない世界。 その感情を、事細かに現実的に、そして気取らずに、ふんわりと描かれた秀作だった。 涙は出ない。 むしろ、くすっともする、しかし底知れぬ悲しさが伝わって来た。 長年、同じ作家のエッセイを読んでいると、その家族をより身近に感じるものである。 ことに、益田ミリのエッセイには大阪のご実家の様子・ご両親がよく出て来ていた。 そのお父さんの死を私が知ったのは、新聞連載のエッセイだった。 「えっ・・・ミリさんのお父さん亡くなってたんやって」 風呂上がりの夫に思わず言った。(夫も新聞連載の一ファン) 前年の秋だったよう。 それが、数か月を経てようやくその事実を、書く気にもなったとそのエッセイには書かれていた。 仕事上、編集関係の人以外には父の死はしばらく言えなかったらしい。 「大丈夫?」と聞かれて、「大丈夫」と答えてはいたけれど、大丈夫と思えるまでにはずいぶん時間がかかったこと。 そんなことが書かれていた。 それに対して、反響があり「私も親の死を、人には言えなかった。悲しみを封印していた」などと新聞読者から投書が相次いであったと 紙面に紹介されていた。 いつまでも、悲しんでばかりもいられない。しかし、何かを見たその瞬間に父や母を想い、涙が止まらなかったりすること。 それは、自然なことで、自分なりに悲しみを整理していけばいいのだと、安心もしたと・・・。 これからの事だなと思った。 これから待ち受けていること、心構えにもなったミリさんのエッセイでもあり、投書でもあった。 叶わなかった最後の桜とケンタッキー・フライド・チキン。最後に買ってもらった物が、コンビニのおでん。父のいない大晦日。 いつだって、ミリさんは実に身近で、素直。 それだけに、胸につんと来るものがある。 ************************ 手巻き寿司をした。 久しぶりに、冷酒を飲んだ。 新潟の糸魚川のお酒 「大火からの完全復興を目指して」と、ラベルにあった。 すりおろしたわさびと一緒に。
by pass8515
| 2018-08-25 18:41
| 本
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Comments(4)
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そういえば、私も父が亡くなった時、わざわざ連絡して知らせた人はいなかったです。
だから少しわかります。 もう結婚して子供たちが小学生だったから、他人に知らせる必要もなく。 10年くらい経って、幼なじみと食事してる時に父の事を聞かれて、話した記憶があります。びっくりしていましたけどね。 年賀状のお付き合いの人には、喪中ハガキで知らせた感じです。 先日、実家の犬が亡くなった時も、実家に行くまで母から連絡なくて知らなくて。 なかなか自分から連絡するまでには、気持ちの整理も含めて時間が必要な時もあるのかな、と思います。 自分が学生だったり、闘病生活が長かったりで、まわりに知らせないと困る状況だったら、知らせないといけないでしょうから、状況にもよりますね。 そんな母がね。昨日、ナント!スマホデビュー。 県外の孫たちとラインがしたいらしく、格安携帯をゲットして、昨日から頑張っています。 手巻き寿司と冷酒、いいですね~。 まだまだ暑いけれど、クーラーの中で美味しい食事とお酒で、気持ちも体も休めてリフレッシュしましょうね^^
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> まるさん
こんばんわ。 お父様、亡くなれてもうずいぶんなるのですね。 ここ、数年幾度か、覚悟がありました。 後から、今度だけは・・・と、聞かされたこともありました。 ああ、あれが最後だったのかも知れなかったのだと思うと、充分に話ができたかと、自分に問いかけ、できるだけ悔いのないようにと思います。 この夏は、元気でした。久しぶりに元気に乗り切った夏でした。 お母様。気を落とされたことでしょう。 スマホデビュー!お孫さんとやりとりがあれば、気持ちが晴れますかね♪ 誰かと話をするって、しみじみと大切で、心落ち着くものですね。 まるさんのお母様は、とてもパワフルですね! 今から覚えようというお気持ちが、もうあっぱれですね! 世界が広がりますね。知らない世界、若い人とのつながり。大切ですね♪
なんだかうるる~~~です。
「叶わなかった最後の桜とケンタッキー・フライド・チキン。最後に買ってもらった物が、コンビニのおでん。」 誰にも「最後の・・・」があるのでしょう。 私にもあります。 今でも、その「最後の・・・」の場所に行くと、 胸の奥から目頭にかけてぎゅうーーっと切なくなるんです。 もう、40年ちかくも前のことなのにね。 人はそう言う思いを持ちながら年齢を重ねて 親ての感謝の気持ちを永久のものにしていくのだと思います。 手巻き寿司、美味しそうですね。 すりおろしわさびが贅沢(^^) エコバック、私もおしゃれなのが欲しいわあ( ´艸`)
> butanekoexさん
おはようございます。 益田ミリの本は、実に身近です。 それだけに、光景が浮かび、お父様が財布が出す様子までも、浮かんでくるのです。 読者の私でさえ、そうだから、実際に娘となると、そういうことがじんと来て いつまでも、心に奥にしみこんでいくのでしょうね。 細かいことこそ、思い出すものなのでしょうね。 butanekoさんは、もっと早くにお別れがあったのだなと、お墓参りのご様子などで 思います。 こころの中に、思いを持ち続けること。それは永遠ですね。 すりおろしわさび。根元まで使い切りたくって、冷ややっこや、酢の物や いつもつけないものまで、擦って使ってます。でもなくならない・・・・(笑) こればっかりは、この辺では売ってないのでね~希少ですね。 エコバッグ。みなさんどんなの使っているのだろう~ってふと思いました。 いつも、必ず使うのに、それほど重要視してない・・・私は粗品、一辺倒でした。 おしゃれなのを、颯爽と持ちたいですね♪
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