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ときをためる

昨日は、とても暑かった。
買い物から帰って来ると、ガレージ内のもわっとした空気。
猛暑のあの頃を思わせるような、むさ苦しさだった。

昼寝をしていた。
すると、夫が「おい、つばたさんやぞ!」と起こしてくれた。
新聞のテレビ欄を隅々まで見る夫。
なんと、つばたさんと樹木希林さんの対談番組(希林さん追悼番組として)を見つけてくれた♪

東海テレビ制作「居酒屋ばあば」という樹木希林さんの番組につばたさんがご出演されていた。
収録は、もう2年も前のようだ。
東海地方の方は、とっくに見ていらしたのだな。うらやましい。

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つばたさんが、居酒屋に繰り出す。
希林さんが待つ、店に繰り出す。
お酒は今まで飲んだことがないというつばたさんは、大冒険のようだった。

そして、つばたさんの家に希林さんが訪れる。
ご主人の津幡修一さんが設計された、30畳のお部屋(おうち)と台所と機織り場。
つばたさんは手をつないで、希林さんを案内する。

「機織りができたのは、やっと50の初めの頃。それまで、ときをためていた。」
決して、つばたさんはお金をためたとは言わない。
そういうことなんだけど、その思いと並行するように、やりくりして、ひとつひとつ積み上げて、自分の夢だった機織りをそこから実現していったという思いがとてもよく伝わる。

希林さんも「先ほどから、2度ほど『ときをためる』という言葉をお使いになったけど、いい言葉ですね」
絣のクッションカバーも、お孫さんのお宮参りの衣装も、生地からつばたさんが織り上げているのだから、相当な思いが形になったのだと、希林さんも脱帽したことだろう。

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老後は?という希林さんの問いに、つばたさんは「私は、もうこれしかしょうがないんですよ。周りの誰かのために何かを作る。そして差しあげる」この日も、つばたさんは栗きんとんや、ショコラケーキやマロンパイや・・・・・数々のおもてなしの準備をたった一人でしてらした。
希林さんもその思いを察知して「老後は?」なんていうインタビューもそこそこに、カメラクルーに向かって、「さあ、こんなところでお茶をご馳走になりません♪」とさっさと切り上げていたのがとても良かった。

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ある意味、対極のようなお二人だと思う。
主人がうまくいけばすべてがうまくまわる。ご主人の周りの事をずっとしてきたつばたさんと、まあいろいろあって、ずっとは一緒に暮らしてはいけなかった希林さん。

子や孫が帰りたくなるのは、「親の魅力。土地の魅力もあるけれど、親の魅力ですよ」
と希林さんはつばたさんをたたえた。

あ~すべてが深かった。ここではまだまだ語りつくせないけれど、人生の・・人の一生の業の深さを感じた。

人の一生は限りがある。

それが何時か?と決められているのではないか。
余命がもういくらもないという時点での希林さんの言葉。

そして、つばたさんの言葉は、とても美しかった。とても美しい日本語だった。
15歳ほどの年の差があるけれど、人生のあれこれを達観したお二人の言葉は私の心に刻み込まれた。




by pass8515 | 2018-10-07 16:50 | 出会い
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